過去のトピックス 麦雑穀工房

2013年
自然力の雑穀類
アマランサス、アワ、キビ、ネコジャラシ、ヒマワリ、金ゴマ、大豆


 今季ここに掲載する雑穀類は昨年同様、アマランサス、アワ、キビ、ネコジャラシ(エノコロ草)、ヒマワリ、金ゴマ、大豆。
 内容は幼稚なスナップ写真と拙文の羅列である。それらはメーンページの原料生産の最新トピックスおよび過去のトピックスに掲載しているなかからこの表題にかかわる部分を抜粋。そして、種まきを先頭、収穫が最後になるよう並べなおした。

7/16 雑穀類が発芽 7/22 雑穀畝の草掻きを強攻 8/20 猛暑の雑穀
8/30 アワ、キビ、ア・・・が出穂 9/10 ヒマワリを収穫/刈り払い 9/20 台風一過
9/28 アワとキビを収穫 9/30 ヒマワリを脱穀調整 10/3 アマランサスを収穫
10/12 アワ/キビ/ネコ・・・脱穀 10/13 アワ/キビ/ネコ・・・選別 10月下旬 雑穀類の唐箕選
12/2 大豆の収穫/乾燥/脱穀 12/14 大豆の脱穀選別  来季に向けて  

J2013年7月16日 雑穀類が発芽
 直轄農場の雑穀類のすべてが発芽した。種をおろしたのが7月3日のヒマワリとトウモロコシを除き6月25日。盛夏の異常な高温と日照りが常態化してきている地帯の一角だけに、日照り期の前に、十分な生育をさせてしまおうというモクロミである。
 写真は先頭から大豆(青山在来)、アワ(埼玉在来)、キビ、金ゴマ、アマランサス(立穂赤)、ヒマワリ(ロシアンマンモス)。作付けた畝数は大豆13列、アワ5列、キビ3列、金ゴマ1列、アマランサス2.5列、ヒマワリ28列。
 大豆、アワ、キビ、すべて雑草と競合している。ことに、アワとキビにあっては作物の種と雑草の種の状態、両者の生育環境、ともにそっくりだから競合するのがあたりまえ。去年も同様の光景を目にして移植栽培を決意したように思うのだが。アワ、キビは通例の直播きを頑固に記憶していた。たかが20年の習慣。移植栽培を試行できなかった。ともかく、来年こそは、とする他ない。こうなったアワやキビは雑草と区別しにくいが、とりあえず今年も、雑草と思えるところを刈払いしておく。
 一方のゴマ、アマランサス、ヒマワリはこの程度の雑草よりも旺盛に育つはずだから、雑草の刈払いはパス。ただし、発芽率のよいゴマ、アマランサスは数日中に間引き作業を実施する。なお、ゴマは今日、3割ほど間引きをおこない、間引いた若苗を別の畝1列に植えつけた。
 ヒマワリは2011年のビーチャレの大麦収穫祭に蒔いた種を継承している。この品種は高性で大輪一重咲き。
大豆 アワ キビ
ゴマ アマランサス ヒマワリ


J2013年7月22日 雑穀畝の草掻きを強攻
 雑穀類と競合している雑草をエンジン搭載のカルチベーターで掻いた。
 16日、作物と雑草の区別がしにくくなったので、雑草と思えるところを刈払いしたのだが。これだけでは昨年同様、圧倒的多数の夏草に負けそうな様相。緑の生産が低下するのを承知で草掻きを実施した。めったに起用することのない愛蔵のカルチベーターは、マメトラ農機叶サの果樹桑園中耕機。製造年代不明で、かなり古いが、快調に動く。
 写真は左端から順に大豆、アワ、キビ、ゴマとアマランサス、間引き苗を移植したゴマ。それに草管理を実施しないヒマワリ畑の写真1枚。
 カルチベーターを想定してなかったから畝幅が狭い。掻き幅、タイヤ幅ともに狭めたものの、作物も掻いてしまう。アワやキビの茎数がかなり少なくなった。それでも一方では、疎植栽培になった、日照りゴマや大株になるアマランサスには都合がよい。
大豆 アワ キビ ゴマとアマランサス 移植したゴマ ヒマワリ


J2013年8月20日 猛暑の雑穀−大豆が開花−
 夏の甲子園たけなわ。太陽がぎらぎら照りつける折、農場も炎天下。この期、この地でも暑さ真っ盛り。そんななかでも大方の雑穀類が順調に生育している。
 写真は上段左端からキビ、アマランサス、ゴマ、間引き移植ゴマ、トウモロコシ(ゴールデンバンタム)、ヒマワリ。
 下段はすべて大豆畝。今季はたくさん大豆を作付けた。左端から開花した青山在来、開花した丹波黒、第一農場の高畝に作付けた青山在来、第二農場に始めて作付けた丹波黒、第三農場の大豆がよくできる畝に作付けた丹波黒、青山在来とアワを交互に作付けた雑穀畑。
7月22日に実施した草掻きの効果。キビやアワの存在が分かる。とはいえ、それらにそっくりの雑草が繁るから、どれがキビなのか、どれがアワビなのか、判別するとすれば、一本一本確認を要す。
・前年、大豆を作付けた畝の作物の生育がよい。アマランサス1列とトウモロコシ1列。2.5列作付けたアマランサスのうち、当該畝の1列だけ背丈が2mを超えた。この畝と隣接する当該のトウモロコシ畝1列も他の畝と比べると明らかに生育がよい。ただし、干ばつに弱いトウモロコシのこと、この日照りにあって葉が縮れてはいる。
・こんな日照り期に開花した大豆2種。両者ともに晩生。大豆は開花期から粒が肥大するまで多量の水分を吸収する。非湿潤な地ではこの期のために地中深く根を伸ばす。したがって、根の伸長を阻害する要因のある非湿潤な農地では着莢しない。私の経験では、ことに丹波黒が顕著。今季は、第二農場で丹波黒の栽培を試行している。長年、ライ麦を連作してきた場所だけに根張りがよいはずだ。
キビ アマランサス ゴマ 移植したゴマ ゴールデンバンタム ヒマワリ
開花中の青山在来 開花中の丹波黒 青山在来 丹波黒 丹波黒 青山在来とアワの畝を交互に作付


J2013年8月30日 アワ、キビ、アマランサスが出穂
 写真先頭からアワと青山在来を交互に作付けた畝、キビ、アマランサス、ゴマ。下段はトウモロコシ(ゴールデンバンタム)、移植したゴマ、開花をはじめたヒマワリ、丹波黒大豆。
 今季は大方の雑穀類の生育がよい。8月には中旬、かなり日照りが続いたがその前後、十分ではなかったものの降雨があった。栄養生長後期の雑穀類にとってはまさに慈雨。ことにアワとキビ。地力の問題はさておき、アワとキビはここ数年、干ばつの影響を強く受けて、貧弱な穂しか育たず、バインダーを活用して束ねるほどの収穫が得られなかった。今季は両者ともに立派な穂が出てきている。収穫期が楽しみだ。
 アマランサスも出穂した。前年、大豆を作付けた畝では幹まわりが15センチ以上ある。これから穂先が充実すれば、背丈が3mにも達する勢い。今季は豊作だと思う。ただし、この猛暑。こういう年は虫が多い。アマランサス栽培の課題は虫の糞なのだ。穀粒と同じ性質の糞である。糞の選別は、フルイや風選を実施してゴミをふるった最後に、手箕に頼るのが最善だと思っている。が、欠損割合がかなり高い。
 ゴマや大豆も順調。しかし、7月3日播種のトウモロコシは、8月中旬の出穂期の日照りが影響して小ぶりの株になったうえにメス穂の数が少ない。トウモロコシの栽培は天候に大きく左右される。この時節はとくに顕著である。
 7月3日に播種したヒマワリが開花をはじめた。緑肥だけを狙った作付けならば刈り時だろうが景観効果も期待しているし、種も少量収穫する予定である。9月下旬ころ刈り払う予定。
アワと大豆 キビ アマランサス ゴマ
トウモロコシ 移植したゴマ ヒマワリ 丹波黒大豆


J2013年9月10日 ヒマワリを収穫/刈り払い
 ヒマワリ畑の刈り払いを実施した。つい先日、9月下旬ころ刈り払う予定と書いた。舌の根も乾かぬうちにである。理由は夏草の勢い。9月上旬まで蒸し暑い日が続いたことから、メヒシバを中心に夏草の茎葉が繁茂して、すでに倒伏しているところがある。倒伏範囲は日に日に広がる。いかなる草木も倒伏しては始末が悪い。この夏草の場合、刈払いが困難になる。かといって、放置すれば麦まきの準備に支障をきたす。したがって、倒伏する前の草管理が肝要。それに、この時期に刈払いを実施すればネコジャラシの出穂を促す。ともかく、刈り払いを実施した。ヒマワリは半熟だが、大きい頭花だけを集めてハサ掛けした。
 写真先頭から刈払い中のヒマワリ畑/大きい頭花だけを集めてハサ掛け/丹波黒大豆を残して刈払い終了。写真下段はアワと青山在来を交互に作付けた畝/穂を垂らしたキビ/アマランサス・トウモロコシ・ゴマ。
 なお、こうした背の高い対象は「2度刈り」をする。1度目は高いところから、刃を左右に振りながら、膝くらいの高さまで刈り払う。写真上段左端が1度目を刈り払った跡。2度目は刈り残したところを主点に10〜30センチほどの高さで刈り払う。写真上段右端がそれ。根元から刈らずともいきものたちは逃げ惑うが、昆作畑にはかれらが一時退避する大豆畝やゴマ畝が残る。
ヒマワリ畝 ヒマワリをハサ掛け 丹波黒大豆
大豆とアワ キビ アマランサス、トウモロコシ、ゴマ


J2013年9月20日 台風一過 雑穀の様子、支柱・棚
 15日から16日にかけて東日本縦断型の台風が直撃した。このタイプの台風はここ小川を通過することが多い。当初は湿った南よりの風、通過する際は無風状態がしばらく続き、過ぎれば北よりの風。そうでなくとも谷津の風向きはころころ変わるにしても、谷津口に位置する二つの直轄農場の作物は強風を往復ビンタのようにあびた。背が高い雑穀は南に北に倒れた。
 写真は左端からアマランサス/ゴマ/アワ・大豆・キビ。
 らアマランサス、ゴマともに、南に北に倒伏した。アワとキビは実の入った穂を振られたうえに倒伏。それよりも穂の小さいネコジャラシすらも振られて実が飛んでしまっている。畝に立っているのは軽い穂のメヒシバと実が飛んで軽くなったネコジャラシの穂。
アマランサス ゴマ アワ・大豆・キビ

 つぎの写真は左右に倒壊した大滝インゲンの支柱/キュウイとニガウリの棚/その棚を引き起こす作業。
 大滝インゲンの本格的な開花、収穫はこれからだから、大方のツルをカットして新たに支柱を立てなおした。キュウイとニガウリの棚を引き起こすには、いつもの伐採作業に使うチェーンブロックとレバーブロックを活用して、途中まで浮かせた。しかし、このままでは緑が重過ぎて元に戻すのは至難。当面、この状態でしのぐ。
 ところで、台風が通り抜けたのは16日夜。直後から、すがすがしい秋晴れが続く。台通の爪あとは緊急の対応ですませているだけに、余計な宿題が残った。まあ、しかし、この程度の被害で済んだわけだ。もともと支柱はふらふらしていた。これほどの風でなくとも倒れたかも知れない。棚は作り直す時期にきていたのだろう。
 今日もすがすがしい、さわやか。ゴマの葉掻き、白菜の植付などの作業がはかどる。
倒壊した大滝インゲンの支柱 キュウイとニガウリの棚 その棚の引き起こす作業


J2013年9月28日 アワとキビを収穫−バインダーの活用−
 台風20号が北の乾いた空気を届けた。昨日も今日も湿度がさがって、さわやかな秋晴れが続いている。直轄農場ではアワとキビの穂が黄金色に染まり、刈り取り適期になった。
 そこでさっそく、アワとキビを刈取ってハサ掛けした。写真2枚はアワ畝とキビ畝のバインダー作業を終えた後。右端はハサ掛けしたアワとキビ。とはいえ、ほとんどがメヒシバとエノコロ草ではある。
 今年の3月、知人から頂いたバインダーがすこぶる快調。バインダーとは、作物の刈り取りと結束を同時に行うことができる農業機械(ウィキペディア)。この説明定義は特殊なモノを収穫する当農場にあってもあてはまる。作物というモノかどうか、ネコジャラシである。
 該バインダーは、雑草にまみれたアワであろうが、雑草に絡みつかれたキビであろうが、こともなく完璧にカットして、こともなく完璧に束ねてくれた。かつて、下草の多い当農場においてバインダーを活用すると、下草が刃の周辺に絡みついてカット不能に陥り、作物を倒して前進してしまっていた。このため、刃の位置が高くなるよう先端を最大限持ち上げて運行しつつも、刃の周辺に絡みついた草を頻繁に除去しながら作業していた。それでもしばしば作物を倒して前進していた。
 バインダーの活用は自然力に馴染まない側面があるにはあるのだが。いま、これを手作業でとなればそれは困難。ほかの動力機械も、もろもろのバランスをいいわけにして活用している。
 以降は、ネコジャラシもバインダーで一緒に収穫できる。というよりも、ネコジャラシがバインダーで収穫できる。ほかの雑草もバインダーで収穫できる。楽しみが広がる。
アワ キビ アワとキビをハサ掛け


J2013年9月30日 ヒマワリを脱穀調整
 天候は下り坂だか晴れ間がのぞいた。夕方から雨になるという。湿気を帯びないうちに、ガレージ屋根裏で天日乾燥させていたヒマワリの脱穀調整を済ませることになった。
 写真は先頭から庭に揃えた材料と道具/手作業の脱穀/穀粒を天日乾燥。
 頭花がカラカラに乾いたので、外辺部の穀粒はさわるだけでこぼれ落ちる。しかし中央寄りは手作業では容易に外れない。早めに刈取ったために、中央寄りが成熟してないからだ。したがって、手作業で軽くこぼれる部分だけを脱粒すればいいことになる。かりに、成熟してない粒が脱粒しても、籾ピカをとおせば風選で飛ばされる。
 準備から片付けまでふくめて2時間で終えた。今は陽が差している、穀粒を天日乾燥しておこう。
籾ピカで選別 脱穀 乾燥


J2013年10月3日 アマランサスを収穫
 9月末日からしとしとと降り続くこぬか雨。雑穀類の収穫期と長雨がかさなり、あらためてこれを秋雨と気づく。雨模様ではあっても、こちらの都合を優先して、アマランサスを刈り取ってにハサ掛けした。
 先日の直撃台風でなぎ倒された。その後、西に隣接したゴマとキビを収穫するのに邪魔になるから、立て直したのが幸いしたか、それとも自然に立ち直ったか、少なくとも穂先が地面から持ちあがった。写真は先頭から刈取り/一輪車で運搬/ハサ掛け。横棒の高さは2m。穂が地面につかぬよう、刈取り位置から1mのところで束ねた。
刈取り 運搬 ハサ掛け


J2013年10月12日 アワ、キビ、ネコジャラシを脱穀
 先月の28日に収穫してハサ掛けしたアワ、キビ、ネコジャラシが乾燥した。今日は天気もいいので、脱穀日和になった。
 写真は先頭からハサ掛けして乾燥したアワとネコジャラシ/キビとネコジャラシ/脱穀作業中の排出口。
 アワ、キビ、ネコジャラシともに穀粒が小さいうえに軽い。そこで穀粒がゴミ出口に飛ばされないよう、これまでは脱穀機を低速回転で運転してきた。しかし、最低速で運転しても半分ほどがゴミ出口から飛び出ていた。今季は、もったいないので、風選のための送風ベルトを外すとともに風選ゴミ出口を閉めて、それらをすべてを回収することにした。脱穀の方法が足踏み脱穀機に似る。それでもこの脱穀機は篩機能を持つから、長い莢や大きなゴミを自動で分別する。
乾燥したアワとネコジャラシ 乾燥したキビとネコジャラシ 脱穀機から排出


J2013年10月13日 アワ、キビ、ネコジャラシを選別
 今日も天気がいい。昨日脱穀したアワ、キビ、ネコジャラシを選別しようと意気込んだ。
 写真は先頭からふるう前のキビとネコジャラシ/ふるった後のキビとネコジャラシ/ふるった後のアワとネコジャラシ。途中、陽が落ちたので右端の色合いが異なってしまった。
 選別作業はフルイ選と風選。写真はすべて一回目のフルイ選の最中。その後、フルイ選を3回、風選も3回やったが。都度、カサは減るものの、見た目は一回目のフルイ選後とほとんど変わらない。10センチほどまでの茎葉とメヒシバの種など小さなゴミが残る。いよいよ唐箕を引っ張り出すか。
ふるう前のキビとネコジャラシ ふるった後のキビとネコジャラシ ふるった後のアワとネコジャラシ


J2013年10月上旬から11月上旬 やまぎわの自然からのおすそわけ
 この季節、この里では、やまみちや農場などの山ぎわから、自然からの旬のおすそわけにあずかれる。たとえば写真におさめたアケビ、自然薯のムカゴ、コナラのドングリ、ムクの実。
・アケビは三つ葉と五葉、両者がこの周辺にたくさんある。これらの熟した実があっちこちに落下するものの、それは熟れすぎで外見が悪い。普通、蔓にぶら下がって、裂ける寸前か直後の実を食べる。クリーム状の果肉をほおばって、黒いツヤのあるタネをブブッと吹き飛ばす。
・自然薯のムカゴは直売の栽培種とは食感も味もまるでちがう。本来の野菜とはこういうものなのではないか。草生。不耕起。無肥料。自然力である。このムカゴは見た目でツヤがある。ホクホクして実にうまい。私は麦飯に混ぜる。
・今年は晩生のドングリが豊作。いま、あっちでも、こっちでも、コナラのドングリがカラン、コロンと音をたてて落下する。周辺のケモノたちはドングリで腹いっぱいらしい。農場のイモ類に手をださない。ドングリは工房にて里山ビールに活用する。
・ムクの実。ムクの木は大木になってから普通、手の届かない枝先に着果するようになるので、落下した実をひろう。それは、乾燥して、しわくちゃで硬く、白い粉がふいたような、砂糖のような甘い実である。しかしここでは珍しく、手に届く位置に着果して熟す。まだ少し、しわがよったころ、これはまさに、干し柿のような食感で、甘くて、とてもおいしい。
アケビ ムカゴ ムカゴ ムク


J2013年10月下旬 雑穀類の唐箕選
 このたび、アワ、キビ、ネコジャラシ、ゴマの選別を唐箕でおこなうことにした。
 これまで、麦や雑穀類などの選別には手製の選別機や手箕の活用、ご近所の方から簡易な唐箕機能を組み込んだ籾摺機をいただいてからはこれを便利に活用してきた。そして近年にいたっては製麦用途に入手した、よりコンパクトな可搬型の籾ピカが意外に多機能なうえに選別までをもおこなうことが分かって、これの利用でしのいできた。ところが今季はじめて、アワとキビに混ざっているネコジャラシの選別をおこなうことになったのだが。これまでの方法ではうまく選別できなかった。もしかしたら、かの唐箕なら意のままに夢のような選別ができるのではないかとの期待である。それに、かねてより選別作業のたびに、あの風情ある伝統農具を活用したいという思いがあった。しかし、たかがこ1時間程の利用のために常設しておけるものでもないし、使うたびに準備と片付けをしなければならないこと考えて億劫になっていた。
・唐箕はご近所の方が物置の二階に長い間保存されていたものを97年にいただいた。直後に数回使用したきりで、ときには雨が吹き込む物置の軒下に吊るしておいた。金属製なら錆びて朽ちてくるだろうに、さすがに無垢の木製。むしろ、痩せた杢目の風合いがいい。
・風量を微妙な手加減で調節できるのが唐箕の本領。しかしこれをうまくこなすには経験を要す。そこで半端な人間が考えること、動力の利用である。製材屋さんでいただいた端切れ木片でプーリーをつくり、それを羽根の軸に固定して、Vベルトで動力につないだ。当初は壊れた古い洗濯機のモーターを利用していた。ところが、昨今のような洗浄力の優れた洗濯機と違い、昔のそれではパワー不足が否めず風量が十分でなかった。今回、ガソリンエンジンに替えた。アイドリングでも十二分な馬力がある。
・選別部分の構造は2つの選別壁と2ヶ所の選別出口。じょうご状のろうとの真下にある「一番口」、隣接した「二番口」、後者はこの唐箕では反対側に設置されている。「一番口」には送風に飛ばされない比較的重い穀粒がでてくる。「二番口」は比較的軽いシイナがでてくる。
 唐箕は風量調節だけでも微妙な調整が可能なのだが、さらに巧妙な仕掛けがある。「一番口」と「二番口およびゴミ出口」とに分別する壁の高さが調整できるうえに、「二番口」と「ゴミ出口」とに分別する壁の高さと角度も調整できるのだ。
軒下に吊るした唐箕 木製のプーリー 選別中

 唐箕選の結果
 アワ、キビ、ネコジャラシ、ゴマの選別をおこなった。結果、「一番口」にはキビ、アワ、ゴマの充実した穀粒が得られ、「二番口」にはそれぞれのシイナとネコジャラシの穀粒が得られた。期待通りの選別力である。
 写真は先頭から唐箕選前のアワ/「一番口」のキビ/飛ばされたメヒシバの種やモミガラなどのゴミ/ガレージ屋根裏のゴマ/脱穀後のゴマ。ゴマはこの後、大きなゴミをフルイで篩ってから唐箕選をおこなった。
 なお、・風量はアイドリング回転でも強すぎるのでVベルトが滑るように緩めた。いずれ、唐箕側のプーリーの直径を大きくするつもりでいる。・「一番口」と「二番口およびゴミ出口」とに分別する仕切り壁の高さを調整するということは、なるほどである。この可動壁は「二番口」の奥、暗いのでその所在に気つきにくい。「ゴミ出口」から手を伸ばして上下操作する。
選別前のアワ キビ ゴミ 乾燥中のゴマ 脱穀したゴマ


J2013年12月2日 大豆の収穫/乾燥/脱穀
 大豆の収穫を11月末に終えた。大方がカラカラに乾燥しているが、まだあおい茎葉のものもある。しっかり乾燥しているものは昨年同様に「容器内足踏脱穀」を実施(写真3枚目)、そうでないものは島立て風に篠竹を組んだやぐらに刺して乾燥させている。
 今年は青山在来を第一農場と第二農場に、丹波黒を第一農場と第三農場に作付けた。例年のように第二農場と第三農場ではよくできた。しかし、今年試行した第一農場が期待外れだった。着莢してはいるが実が入らない株が多い。(写真左端が青山在来、右端が丹波黒)。町道対面の水田転換畑では、小川高校定時制の生徒さん方も青山在来を栽培している。それは除草せず草ぼうぼうの中で大豆の姿がみえないほどだったのに、2枚目の写真のように小粒ながらきちんと実った。わが大豆畑では、かなり手抜きではあっても一応、草管理をやったにもかかわらず、このありさまである。今夏も猛暑日が続いた。こちらの方が西日があたる時間が長く、乾燥地であるのは確かなのだが。地力向上の努力が足りないということだ。
青山在来 小川高校の青山在来 乾燥と脱穀 丹波黒大豆


J2013年12月14日 大豆の脱穀選別
 陽が射すころまで霜が残るとともに田畑が凍る季節になった。こんな季節にもなるとストーブに焼べる薪の量が増えてくる。谷津の風があたる斜面は土がカラカラに乾燥している。町道より小高い庭に重量物を運搬する際、昨年まではガレ場のような小石に滑るスロープに難儀していた。しかしこの夏おこなったピンコロ付設の効果があって、リヤカーでも軽トラでも(写真右2枚)楽々運搬できるようになった。こんなに楽をしてしまっていいのだろうかとさえ思う。
 そんななか、大豆の脱穀選別が終盤になった。一部の生育が遅れた丹波黒を、島立て風に篠竹を組んだやぐらに刺して乾燥させていた。これを持ち帰って「容器内足踏脱穀」をおこない(写真左端)、フルイで細かいゴミを落とした後、5本指で大きなゴミを摘み出した(写真2枚目)。少量だから、あとは例年のように扇風機でゴミを飛ばす。虫食いやシイナの除去は手箕が手軽。
脱穀 選別 リアカーですいすい運搬 軽トラも登れる



来季に向けて−アワ/キビの雑草対策と直撃台風への備え−

 アワ/キビの雑草対策
 移植栽培の試行を楽しもうと考えていたにもかかわらず、準備を怠り、今季も直播きになった。当然、これまで同様、雑草が優勢になった。こうなってしまったアワ/キビの雑草対策はたいへん困難。それでも、これまでのように小径の刈刃を使用して条間の刈払いをおこなった。しかし、これまで同様の対応だけでは進歩がない。今季は試しにカルチベーターを起用して条間の草掻きを実施した。条間の刈払い、条間の草掻きとはいっても、アワ/キビが雑草と区別しにくいうえに、全面ばら蒔きに近いわけだから、条間という表現がおこがましく思える。このためアワ/キビもかなり刈り倒し/掻き倒してしまい、直後はみるも無残な畑になる。ところが数週間もするとなんとか雑穀畑らしい風情になる。
 カルチベーターを起用して「条間カルチ」を実施した今季、刈り取りにはバインダーが活用できたし、ハサ掛け乾燥をおこない、脱穀から選別調整まで、一連の作業をおこなった。結果、「条間カルチ」の効果があらわれて、これまでにない立派な穀粒を得た。しかし、その嵩(かさ)はまだ、作付けから選別調整までのすべての肉体労働を養うに足りるだけのものではない。ここでは、「条間カルチ」は一定の効果があるといえるにしても来季こそ、なんとしても移植栽培を試行しよう。
 直撃台風の備え
 雑穀類の登熟期、9月中旬、東日本縦断型の台風が直撃して作物に大きな被害がでた。このタイプの台風はここ小川を通過することが多い。この時期に穂が充実する雑穀類や支柱に蔓を這わせる作物にはなんらかの備えが必要になる。
 汎用の風対策ならば防風林を思いつく。そういえば関東平野の中央部では、浅間おろし、榛名おろし、赤城おろしといった季節風がある。それもあってか、畑の周囲には必ず茶や桑が植えてあったし、小川のここにも桑が植えてある。この桑は粗末にしてはいけないのだ。風対策ばかりでなく、いきものの多様性確保にもたいへん意義ある。桑の欠けたところはそのまま放置していたが、これからは桑に代わる潅木を植えよう。たとえばブルーベリー、フェージョア、ミカンなど、背丈があまり大きくならない果樹が楽しい。

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