麦雑穀工房マイクロブルワリー

2013年
自然力の麦類

 ライ麦、小麦、二条大麦、ラダックの麦3種を、あらすじは例年と変わらぬ考え方つまり、クローバーを混栽しつつ、野草化したヤグルマギクや雑草を放任して栽培した、しがない新参百姓の幼稚なスナップ写真の羅列である。
 なお、内容はメーンページの原料生産の最新トピックスおよび過去のトピックスのなかから麦類にかかわる事項を掲載した日付の内容を大方抜粋。そして、種まきを先頭、収穫が最後になるよう並べなおした。日付インデックスの長行タイトルは短縮略記した。

10/26 ライ麦の種まき 10/31 直轄農場の麦まき完了 11/5 ビーチャレ種まき/製麦開始
11/14 製粉とふるい 11/19 緑麦芽の天日乾燥 12/2 サツマイモと麦の二毛作
12/5 放射性物質影響検査 12/9 ビーチャレ麦踏み 12/13 谷津の短日
12/19 麦芽コロニー 2/6 麦踏みの一方で製麦 3/1 直轄農場の麦畑
3/20 二条大麦が出穂 4/8 最終ロットの製麦 4/18 直轄農場の麦畑
4/27 収穫祭2013の日程 5/4 小麦とライ麦が開花中 5/29 麦の様子
5/30 麦の登熟状況 6/1 ビーチャレ麦の収穫祭 6/10 直轄農場の麦を収穫
7/10 麦の乾燥と調製 7/21 小麦を調製 7/25 あとがき−自然力の豊作不作−
 
J2012年10月26日 ゴマの脱穀と調製/ライ麦の種まき
 ここ数日、晴れて乾燥しているのでゴマを脱穀して調製した。夕方になって、ライ麦の種まきもおこなった。
 麦まきを始めた。早めの種まき。狙いは昨年同様、できるだけ早めに収穫を終えたいため。昨年は晩秋からの低温が早まきを打ち消したようにみえた。今年はどうだろうか。写真右端がライ麦を蒔いた畑。今回は雑草茎葉の残骸をいったん脇にずらして、麦種をふった後、元の場所に戻した。
 ゴマを刈り取り、ガレージの波板屋根裏に干したのが9月27日。ちょうど一ヶ月経った(写真左端)。カラカラに乾燥した。叩かずとも莢を下に向ければ脱穀できる。調製の道具は網目2ミリほどのフルイと送風機。送風機として、使い古した空気清浄機を使ってみた(写真右から2番目)。ジョウゴを活用して調製物を落とすと、均一に風があたって、うまくいく(写真中央)。この後、手箕選をやるものの水洗いはやらない。

屋根裏でゴマを乾燥 ゴマの脱穀 選別後のゴマ 選別器具 ここにライ麦を蒔いた

J2012年10月31日 直轄農場の麦まき完了/ラダックの麦
 直轄農場の麦まきを終えた。今季、作付けした麦類は、ライ麦、小麦(農林61号)、それに知人からいただいたラダック(カシミール東部地方)の麦3種。
 ラダックの麦3種はそれぞれ1列。閉花受粉性の品種かどうか不明。そこで、自然交配しないよう、2種はほかの麦畝とそれぞれに距離をおき、1種は別の畑に蒔いた。
 写真左端は小麦(農林61号)を蒔いた部分。今回は先日おこなったライ麦の作付け同様、雑草茎葉の残骸をいったん脇にずらして、麦種をふった後、元の場所に戻した。ただし、この写真の部分だけにはクローバーが発芽してないため、赤クローバーの種を全面にふった。
 さて、麦粒の写真。7品種。
・左から農林61号とラダックの麦種A。農林61号は中力種、関東周辺ではありふれた代表品種。ラダッAは小麦かライ麦か、ライ小麦のようでもある。出穂が楽しみ。右上の豆粒のようなものがかなり混じる。これも楽しみだが、どのような性質の雑草なのか。注意して観察すべし。
・次がライ麦とラダックの麦種B。ライ麦はここ小川町でおよそ20年来作付けしてきた種。そしてラダックの麦種B。大きい。これも、小麦か、ライ麦か、ライ小麦か分からない。出穂が楽しみ。雑草の種は混じってない。
・右端はビーチャレ二条大麦、六条大麦、ラダックの麦種C。ビーチャレ二条大麦は2009年に蒔いたニシノチカラを引き継いでいる。六条大麦はシュンライ。そしてラダックC。長い籾殻。一応、大麦に分類しておく。

麦まきを終えた畑 農林61号と? ライ麦と? 大麦3種1

J2012年11月5日 アマランサス収穫/ビーチャレ種まき/製麦開始/フェイジョア
 4つの話題。 脈絡のない語を並べた、しまらないタイトルではあるがお許しを。
・アマランサスを収穫した。たたくと穀粒が落ちる。収穫期である。左端の写真=奥に立ち姿のアマランサス、手前に鎌で刈り倒したアマランサス。茎葉に多量の水分を含んでいるので、しばらくハザ掛け乾燥をする。茎葉がカラカラに乾いたら、例年のように脱穀機にかけようと思っている。
・この日曜日(4日)、地ビールチャレンジの種まきを実施した。参加者22名。スタッフ6名。4年目の今年は4反。いつもの霜里農場である。おいそがしいなか、あの金子さんも河村さんも一緒に作業をやってくださった。ありがたい。
・今年収穫したビーチャレ麦の製麦を開始した。1ロット20k。設計どおり7日間隔のFIFOシステムが機能すれば、来年初夏までに、今年収穫したビーチャレ麦すべての製麦が完了する。写真は初ロット開始から3日目。発根が目視できる。この時期、掛け流している湧き水の水温は11度から13度である。
・製麦作業の合間、大きく育ったフェイジョアの実を発見した。幾年前だったか山際の、第三農場の町道沿いに3本苗を降ろした。今年は厳しい天候だったから期待してなかった。事実、夏のさかり、着果が確認できなかった。ところが、いつの間にか育っていた。中央の1本の木だけだが。大きな大きな実が生っている。甘く香りのよいフェイジョア。なにも手をかけずともこうして大きな実をつけた。自然からの贈りものである。

アマランサス収穫中 アマランサスをハザ掛け 2012年ビーチャレ種まき 製麦開始 フェイジョア

J2012年11月14日 製粉とふるい
 手製の電動粉フルイ。動力はジグソー。製作したのは17、8年前だろうか。ソバ、小麦、ライ麦の製粉に使った。数年間、便利に活用していたが、10年ほど前から埃にまみれてしまっていた。大型の石臼で製粉してくれる方があったし、全粒粉を指向するようになったともいえば聞こえがよい。正直なところ、ますます百姓の仕事量がふくれあがって、フルイ作業に手が回らなくなったのも事実。そのころを境にソバやウドン作りをやらなくなった。
 このたび電動粉フルイをよみがえらせる狙いは単純に白い粉が欲しくなったというだけのこと。自給原料それだけでも贅沢であっても、たまには白く香りのよい旨いパンやウドンが食べたいのだ。
 写真左から
 ・手製の電動粉フルイを持ち出して埃を払う。補強と調整に2日間かかった。
 ・粗い網目で試運転。よく乾燥したアオバ小麦。2番粉以降とらなくても歩留まり7割ほどになるよう製粉度合いを調整。つまり、初っ端からそれほどまでに細かく製粉できる。
 ・一番粉。微細なフスマが混ざる、全粒粉に慣れている身にはこれくらいのフスマ量がいいように思う。
 ・一番粉を篩ったフスマ。まだたくさん付着していそうみえるのは光角度の具合。とはいえ栄養豊富な資源。このフスマで始めてのボカシをつくってみようと思っている。

手製の電動ふるい 調整を終えて試運転 小麦粉 フスマ

J2012年11月19日 緑麦芽の天日乾燥/麦類が発芽/大豆収穫中
 3つの語句を並べたタイトル。しまらないタイトルがあたりまえになった。こうしたタイトルにすると、はしりがきがふさわしいように思えるので便利。まあ、もともとそういう性質のページではある。以降、このような形式のタイトルが多くなる。
・緑麦芽の天日乾燥。受け枠を新調した。枠材は製材所からいただいた松の端材。底はアルミ製の網になっている。できればステンレス製がよいのだが、たまたまアルミ製の網が物置にあった。さて、天日乾燥による麦芽は外見だけでもおおきなバラツキがある。発芽止めを開始するタイミングが適切であっても、このバッチのように天候次第で根が伸びる。
・麦類が発芽した。
 写真は霜里農場のビーチャレ麦から。ビーチャレは4年目になる。ほどよく雨が降って順調に発芽した。畝と並行に歩くと発芽が分かりにくいのだが、縦方向にみればこのようにはっきり見える。
・直轄農場のライ麦。雑草茎葉の残骸をいったん脇にずらして、麦種をふった後、元の場所に戻したため、発芽率がよい。
 ところで、このライ麦6列の左右に雑草を積んだような"ぼっち"の畝がある。その左右のぼっちの奥にもライ麦、小麦、ラダック麦の畝がある。そして、実は、右のぼっちはゴマを収穫した跡、左のぼっちは収穫中の大豆畝。その両者のいずれのぼっちにも麦種をふった。筋蒔きでなく、ばらまいた。
・次が、ラダックの大麦。こちらも適度な湿気が保たれ、野鳥に見つからず、発芽率がよい。
・大豆の収穫中。小川の在来種、青山在来。茎ごと収穫して、ハサ掛けないしムシロ代わりの受け枠に広げて天日乾燥をする。カラカラに乾いたら人力で脱穀する予定なのだが。期待よりもたくさんできているし、草をかきわけての収穫に手間どっている。脱粒してしまう前に終えたい。

緑麦芽の天日乾燥 ビーチャレ麦の発芽 ライ麦の発芽 ラダック麦の発芽 大豆収穫中

J2012年12月2日 ここだけでしかできないサツマイモと麦の二毛作
 サツマイモの収穫を終えた。今季はその跡に緑麦芽をふった。
 ここ山際の里では豊かな自然が満喫できる。いまごろの季節には美しく色づいた紅葉を背景に、愛らしい小鳥や小動物の訪問に心躍らせつつ、柑橘類、キノコ、イモ類などわずかばかりのおすそわけを堪能する。とはいえ、自然のバランスが変化してきているのも事実。
 この里は地名を兔平という。ノウサギの姿をときどき目にする。ウサギはわたしと同じベジタリアン。だが、2000年前後を境に、雑食や肉食の小動物にくわえて大中の野生動物が里に出現するようになった。そしてその頻度、その種類が年々増加傾向にある。それも比較的大型のイノシシやサルにくわえて、アライグマ、アナグマ、シカなども現れる。里よりに生息するノウサギの生存すら脅かしているはずだ。
 野生動物の出現をしばしば確認するところは山林と田畑の境界、山林と屋敷の境界である。そうしたところは適度な水分と日照が確保されて自然の恵が豊か。ところが、彼らの胃袋はそれでも不足になってきたのだろう、時として田畑の作物にも影響がおよぶ。なかでもまさに被害とも表現するにたりるほどにふるまうのがイノシシである。イノシシはイモ類が好物。そしてサツマイモを特別好むのだ。
 さて、この里でサツマイモと麦の二毛作が可能な農場とは。それは単に、サツマイモができるかどうかにかかる。関東以西の日本ならば、サツマイモができるところならその裏作に麦をつくるのが可能。この里に限れば野生動物の存在が左右する。その農場環境において、野生動物がどのようにふるまうかである。
 わたしのところには3つの農場がある。そのうちの2つはサツマイモがつくれない。サツマイモをつくると彼らがサツマイモを掘り繰り返す。サツマイモが育っている時期ばかりでなく、その裏作の季節にも掘り繰り返す。サツマイモの臭いが残っているからだろう。サツマイモをつくればその裏作にまで影響が波及するのだ。
 製麦小屋のある第三農場(兔平)から先には民家がなく耕作田畑もない。まさに山際。したがって、第三農場が最もケモノ被害の多いところに思える。が、第三農場ではケモノ被害がない。ケモノ被害に遭うのは、周りに民家が点在して、田畑に囲まれている別の農場2枚である。わけが分からない。ことによったら拙宅のネコやイヌを恐れているのか。
 ともかく、サツマイモは兔平でしかできない。来年もここにサツマイモをつくる予定である。これまでは来期の苗おろし6月まで、雑草が生えるままに任せていた。地力増進を雑草にまかせるのが自然との思いではある。しかし今季は積極的に麦を蒔き、二毛作に切り替えようと思い立った。ここ埼玉では、かつてサツマイモと麦や豆の二毛作が定着していた。先達たちにならい、二毛作を継続すればいずれ地力の均衡がとれてゆくのではないかと期待する。
 ところで、サツマイモは日照りを好む。しかし今年は異常な乾燥だった。定植が遅れた晩成の紫芋2品種は本来の生育期に葉が萎れたまま育たなかった。涼しくなり収穫期が近づいたころになってから元気になり、育ち始めた。そのため、太らず、水っぽい。そればかりか、大方がネズミだろうか、なにかに食われている。食われたイモは腐敗しやすい。ただし、8月末ころから秋雨前までに収穫した早稲の紅東は小ぶりだが、それはそれは美味かった。丹波栗のようにホクホクなうえに香りもよい。よくできたサツマイモは高級な和菓子よりもうまい。収量僅かであってもサツマイモを作付けする理由である。
・写真左端から 収穫した紫芋系のサツマイモ2種。紫芋、紫芋の新品種パープルスイート。今年作付けしたのはもう1品種、紅東。10mほどの短い畝4列に100本余りの苗を植えた。毎年、苗をつくるものの、うまくいかず、不足する。不足分は購入する。それにしても毎年購入するようでは情けない。いつも来年こそは全量自給と思う。
・写真2枚目 サツマイモの収穫を終えた畑。あらかじめサツマイモのつるを脇に避けてから、種をおろす溝を切った。サツマイモのつるは長い。土の移動をできるかぎり少なくしようとこだわれば、工夫を要す。
・写真3枚目 種をおろして、サツマイモのつるを戻す。種は生麦でなく、緑麦芽である。はずかしい話。泥の床にこぼした緑麦芽を活用した。製麦作業は麦が発芽を始めると、酸素の供給と水分率の平均化を促す目的で、ときどき攪拌する。その前に発芽状態を確認するためにバッグのジッパーを開封する。確認後、そのジッパーを閉め忘れたのだ。ゴミや小石が混ざった一部の緑麦芽。実は、これを雑穀跡やサツマイモ跡に蒔いた。
・左端 大豆(丹波黒大豆)跡におろした緑麦芽が生長した。丹波黒大豆は10月下旬、枝豆で食べる。むろん、来年への継承分を残す。この枝豆はねっとりして大粒、うまい。この大豆が着莢するのはこの第三農場(兔平)だけ。この農場は雨水が滞らない。かみに水田があって水位の高い、ほかの2枚の畑では着莢しない。

なにかが食った芋 さくを切る イモの蔓を戻す 麦が発芽

J2012年12月5日 放射性物質の醸造用水とビールへの影響検査−分析報告書−
 麦類同様、検査機器で測定できる検出限界値未満だった。ひとまず安心である。
醸造用水 発泡酒 詳細

J2012年12月9日 ビーチャレ麦踏み/古民家の炊事場
 無風、快晴。ポカポカと暖かい。おだやかな麦踏み日和になった。この日、地ビールチャレンジの麦踏みを実施した。当日、立派な古民家を見学させていただいた。
 麦踏みにはなりわい創造塾の皆さんも合流、スタッフを含めて23名の陣容になった。4反の麦踏みをちょうど午前中で終えて、正午から餅つきが始まった。河村農場の餅米をついて、河村農場のカラミ大根と河村農場の醤油でいただいたカラミ餅。それはそれは美味かった。極上のカラミ餅。至福のときだった。皆さんがそれぞれ持ち寄った手づくり料理もおいしくいただいた。青空のもとでそれらの贅沢を堪能した後、正月のしめ飾りをつくった。
 餅つきをおこなった場所は河村さん宅の庭。この屋敷には立派な古民家が建っている。さっそく見学させていただいた。重厚な威容に圧倒される。わたしが興味を引いたのはその荘厳な母屋よりむしろ母屋裏の別棟、炊事場。これも屋根が高く立派な建物である。昔の家は母屋に台所がなかったと聞いた覚えがある。それにしても暗い。幸い、壁が朽ちて光が漏れている。山を削った地形。そうでなくともじめじめする雨季には地面や石垣から地下水が染み出すだろう。この建物から数メートルのところに写真右端の井戸がある。ここから水を汲んだのか。蒸し暑い雨季には水があふれ、厳寒の乾季には水の確保に労するたたずまいである。そういえばわが製麦施設に似ている。
 蛇口をひねれば温水すら出る、昨今のエネルギー大量消費生活を自覚するよい場であった。

麦踏み 炊事場 井戸

J2012年12月13日 谷津の短日
 ここしばらく晴天が続いている。空気が乾燥するとともに明け方の気温が連日マイナス3度を下まわっている。霜柱が高く成長した。砂防ダムがすでに凍結。昨年よりも寒い冬になるのか。それでも、こうした陽射しのなかで体を動かすと汗がにじむ。
 谷津の日は短い。平野部よりも日の出が1時間あまり遅く、日の入りが1時間あまり早い。屋外作業があたりまえの自認百姓にはこうした陽のある時間帯が貴重。
・写真左。麦芽の天日乾燥を乾燥焙燥トレイでおこなっている。これまではビーンバックから天日乾燥専用の受け網に移して天日乾燥をおこなった後、乾燥焙燥トレイに移していた。乾燥能力は天日乾燥専用に比べて乾燥焙燥トレイの方が低い。そこで今回は、発芽ユニット内ですでに緑麦芽の水分を落としている。狙いは、ひとてまふたてま省略する方法をさぐるということ。
 現時点の製麦方法は手がかかりすぎる。そのひとつが、こうした工程ごとに緑麦芽を「移す」作業。緑麦芽の根はビーンバックの網に絡まる。天日乾燥専用の受け網に絡まる。乾燥焙燥トレイの網に絡まる。根が絡まれば作業に手間どる。したがって、「移す」作業を省略する効果は大きい。
・ニセアカシアの薪割り。いま暖房に焚いている薪は昨年玉切りして庭に積んでおいたニセアカシア。こうして1年間積んだ玉を適時適量、薪割りして贅沢に使用している。ストーブの窓にゆらぐ炎をみるたびに真に贅沢を実感する。
 ニセアカシアは意外に繊維がいりくんでいる。直径が15cmほどまでなら、パカッといく。それを超えると一応、パカッといくものの交わった繊維が離れない。節があるところや径が30cmを超えるころから、とんでもなく素直でなくなる。そうであっても、薪割機は融通がきく。繊維が交差しようがしまいが、カタログ値7トンという油圧力で強引に押しつぶしてしまう。100V電源の低電力ゆえ動作が鈍いのは自認百姓向けではある。こうした材料を斧で処理するとなればそれはそれは大変。玉を短くカットしても、節の部分はチェンソーに頼らざるを得ない。ニセアカシアはクヌギやケヤキと比較すると火持ちもそこそこ。薪としての評価もそこそこ。
・右端は来季に向けて確保した薪。隣町の知人から頂いた庭木を玉切りして積んだ。ケヤキ、カリン、カキなど。手前の幹が凸凹した木はなんだろうか。たいへん重い。切り口がピンク。木肌はウメ。
 例年あっちこちからさまざまな原木を頂いて運搬する。一本、一本、手にして、軽トラに積むとき、どんなふうに育ったのだろう、新緑や紅葉をどれほど楽しませてくれたのだろう、どんな花が咲きどんな実が生ったのだろう、など想いをめぐらす。いつも平らなところから運び出すわけではない。とはいえ、自然豊かな場で楽しく汗して重労働ができることに幸せをかみしめつつの作業である。

天日乾燥 ニセアカシア 切り口がピンク

J2012年12月19日 丹波黒を脱穀/麦芽コロニー
 クヌギやサクラやの落葉が地面を覆うこの季節、おくてのコナラやクロモジ属の葉が枝から離れて舞いあがり、空からふってくる。つむじ風のしわざである。無風のようなときでさえも、ここでは上昇気流が生じる。そんななか、緑麦芽を天日乾燥しつつ丹波黒を脱穀した。
・写真左。脱穀した丹波黒。来年の種の分を確保した。カラカラに乾燥している大豆の脱穀は簡単。それも少量。手のひらで握っただけで脱穀できる。
・写真右。絡んだ緑麦芽の根。麦芽が集団を形成。いわゆる麦芽コロニー。当日、寒風のなか、曇りがちでもあったが、天日乾燥をおこなった。夕方、取り込んでから気づいた。緑麦芽の塊が点在していた。根どうしが絡んでいる。ひとつひとつの塊が20粒前後。大きさが揃っている。塊の距離も5センチ前後と揃っている。緑麦芽は寒さと乾燥を密度効果で凌ごうとしたのだろう。そういえばわが農場でも密度効果を意識的に活用している。セリ科苗の芽出しや草生冬越し栽培である。
 ところで、こうして多数生みだされた緑麦芽のコロニーは、明日おこなう焙燥によって消滅するうえに、緑麦芽の発芽力も大方消えうせる。このパッチだけでもおよそ50万粒ほどあろうか、この大量のいのちと引き換えに身勝手ながら、素晴らしい香りの麦芽を入手することができ、美味しい地ビールを醸造することができるわけである。

丹波黒の脱穀 根を絡ませる緑麦芽

J2013年2月6日 麦踏みの一方で製麦作業
 3日の日曜日、霜里農場にて「地ビールチャレンジ」の麦踏みを実施した。「地ビールチャレンジ」は「はじめる自給!種まき大作戦」の取り組みのひとつ。今回もなりわい創造塾の皆さんも合流されて、30名を超える陣容。4反の麦踏みは午前中で終えた。午後は、交流会後、地大豆の青山在来をつかって味噌を仕込んだ。この日、特有の季節風が少々感じられたものの好天に恵まれた。なお、工房直轄の農場では麦踏みを実施しない。
 そして、一方では製麦作業である。伏流水の水位が下がり、水圧が低下してしまっているのだが。なんとか4月末までの適期に、去年収穫した麦の製麦をすべて終えねばならない。
 写真右は今年になってはじめての、1ロット目の、緑麦芽の天日乾燥風景。故意の逆光。天日のありがたさを強調したい。

麦踏み 緑麦芽の天日干し

J2013年3月1日 直轄農場の麦畑
 スギ花粉が舞い始めた。今日は暖かい。明日も暖かいという。昨日までの寒さがひとやすみ。町道に接する農場南面に放任の福寿草が満開。毎年この頃、可憐な花を楽しませてくれる。
 ここは第一農場と第二農場。地形的には谷津の裾。いま、際奥の第三農場よりも日の出が30分早く、日の入りが30分遅い。つまり日照時間が1時間も長い。昨日まで真冬の気候ではあったが、陽がだいぶのびた。麦類の様子はどうなっているだろうか。
 写真上段2枚目はラダックの麦A。ここの風土に合わないのか、弱弱しい。
 3枚目がラダックの麦B。茎立ちはじめている。葉幅が広く、大麦の風情を漂わせる。
 右端が小麦、農林61号。小麦は大麦と比べて葉か細いので分かりやすい。
 下段左端がラダックの麦C。大麦らしく、どっしりした姿。
 2枚目がライ麦。今年は葉数が多い。直轄農場にしては珍しく密生してみえる場所がある。
 残りの2枚は山際の製麦施設周辺。豊後梅と二条大麦。
 豊後梅は沢の河川敷に育つ。この梅の開花は桜の時期に重なるほど晩生だが、今年はすでにツボミが膨らんだ。
 二条大麦は第三農場に作付けた。というより、土間にこぼれた緑麦芽をふりまいた。12月2日だった。サツマイモ跡と大豆跡。子実の収穫を期待せず、深部に達する根郡と茎葉、有機物の生産をねらう。

福寿草 ラダックの麦A ラダックの麦B 農林61号
ラダックの麦C ライ麦 豊後梅 二条大麦

J2013年3月20日 彼岸の中日−桜が開花、二条大麦が出穂−
 彼岸。だいぶ太陽の位置が高くなって陽が延びた。例年この頃になれば暖かい日があるにはある。しかし、今年はこのところ異常に暖かい。いやむしろ暑い日がある。午後の作業では上半身半袖のTシャツだけになる。東京のソメイヨシノは記録的に早く咲き、今日などはあっちこちで観測史上最高の気温を記録しているという。
 皇居外苑よりも3度から4度の差があるこの地でも、ソメイヨシノにほんの少し先駆けて咲く山桜が開花(先頭の2枚の写真)。こぼれダネの二条大麦がみごとに育って出穂した(写真3枚目)。こぼれダネは脱穀機のゴミ排出口から飛び出たシイナなのに、である。
 それでは、10月末に種まきを終えた直轄農場の麦たちの生育はどうなっているだろう。  写真は下段。左端から小麦。2枚目がライ麦。両者ともに生育が順調だし、還元した夏草の茎葉が地面を覆っている。作物が旺盛でまあまあの草マルチの存在もあって、とりあえずクローバーや雑草の発芽生育を抑えている。
 それにたいして残りの写真3枚。ラダックの麦A、B、C。いずれも生育が遅れている。ここの風土に馴染んでないからなのだろう。ラダックの麦Cにあっては雑草が優勢になった。

山桜1 山桜2 出穂した大麦
小麦 ライ麦 ラダックA ラダックB ラダックC

J2013年4月8日 今季最終ロットの製麦
 今季、最終ロットの製麦となった。10月スタートした製麦作業がおよそ半年間で20ロットを数えた。その最終ロットの作業が今週中に終了する。
 昨日と今日、強風のなか、最終ロット分の緑麦芽の天日乾燥をおこなっている(写真左端)。今のところ風は南より、猫が日陰で涼むほどの陽気になった(写真2枚目)。沢向かいで満開だったソメイヨシノや山桜の花びらが、このぬるんだ強風で舞い上がり、乾燥中の緑麦芽に舞い降りてくる(写真3枚目)。
 沢向かい左奥の小高い部分が鎮守の杜、飯田神社がにぎわっている。山頂の境内では神楽殿の瓦を葺き替えた。今日は春祭りをかねてお神楽を奉納している(右端)。

緑麦芽の天日干し 日陰で涼む猫 麦芽に桜の花びら お神楽奉納

 麦畑の周囲を見渡すと、いまごろ開花ないし蕾を膨らませている自生の果物類や野菜がいくつかあったので撮影した。上段左端からミツバアケビ、ゴヨウアケビ、ブルーベリー、サンショウ。下段左端からコウゾ、クサイチゴ、梨、大根。
 ところで、自生のアケビ2種。ミツバアケビ、ゴヨウアケビ。小葉が3枚、5枚。花のかたちが違うし、花の色もたいへん異なる。この期、両者がこんなに違うから「ミツバ」、「ゴヨウ」などと区別するのだが、花期を終えて着果してしまえばその差を意識することがない。
 自生のアケビの多くはナラやクヌギなどの雑木に絡み付き、枝の先端まで蔓をのばす。実をつける場所は一般に高木の枝先。熟すと紫の果皮が裂けて白いバナナのような甘い果実が現れる。果皮が裂ける以前だと苦味が強く、裂けて翌日にもなれば野鳥が突っつき虫もつく。一般にアケビの実は高いところにぶらさがるし、収穫適期が短い。しかし、ここでは腰ほどの高さのフェンスに絡み付いている。収穫期になれば適期を通りすがりに観察できるのでありがたい。

ミツバアケビ ゴヨウアケビ ブルーベリー サンショウ コウゾ クサイチゴ 梨の花 大根の花

J2013年4月18日 直轄農場の麦畑、茅葺工事
 今季は春先からたいへん暖かい日が多い。この陽気で、あっというまに大麦とライ麦が穂揃いした。小麦類も穂がみえてきた。撮影した写真は上段左端からラダックの麦A、ラダックの麦B、ラダックの麦C。下段は左端からラダックの麦Bの黒穂、ライ麦、二条大麦。
 ラダックの麦はBだけが穂揃い。しかし、下段左端の写真のような黒穂が数株発生した。この穀粒は国内に持込む前に黒穂病に感染していた模様。黒穂株は見つけ次第処分しているので他に感染することはないと思う。
 ラダックの麦Cは茎が赤みをおびている。これからどのような穂がでるのか楽しみ。
 なお4月8日、二条大麦と小麦を除くすべての畝間の雑草刈払いを一回実施した。

ラダック麦A ラダック麦B ラダック麦C
黒穂病 ライ麦 二条大麦

J2013年4月27日 ビーチャレ「麦の収穫祭2013」 6月1日に決定
 はじめる自給!種まき大作戦が取り組んでいる活動のひとつ地ビールチャレンジの「麦の収穫祭2013」が6月1日に決定して参加者を募集中。場所は霜里農場。まだ一ヶ月余り先のことではあるが麦の状態を確認、撮影してきた(写真2枚目)。穂揃期である。霜里農場と河村農場の方たちが周囲の草管理をやってくださっておられた(写真3枚目)。
 右端の写真は直轄農場の麦穂。12月2日、土間にこぼれた緑麦芽をふりまいたもの。同じ品種のニシノチカラ。こちらでは、すでに穂がサーモンピンク色をおびてきている。霜里では来月上旬に色づく見込み。
 なお、今回の「麦の収穫祭2013」には事務局からの厚意で、「工房の10周年記念企画」のフレーズがサブタイトルに掲げてある。

パンフレット 霜里農場の麦 管理作業 直轄農場の麦穂

J2013年5月4日 直轄農場の麦畑−小麦とライ麦が開花中−
 直轄農場では小麦とライ麦が満開になっている。これらは開花をはじめて10日以上経つ。ともに花期が長い。写真上段の左端は小麦畝。その隣がズームアップした小麦の穂。3枚目はライ麦畝。その隣(右端)がズームアップしたライ麦の穂。
 ライ麦の花は大きい。子実一粒ごとに、これだけ大きな花を開花させる。相応のエネルギーを費やすだろう。なぜこんなに大きな花をつけるのか。遠方に育つ固体の花粉を期待してか。媒介は風媒と虫媒のはず。開花期、あまり風が吹かず虫の飛来の少ないところで育まれた麦なのか。
 写真下段は左端から、出穂中ラダックの麦A。穂が横向きになりはじめたラダックの麦B。穂揃い期のラダックの麦C。クローバーのなかで登熟中の二条大麦。二条大麦はクローバーが優勢。
 なお、大麦には開花しない、閉花受粉性の品種がある。二条大麦は閉花受粉性。ラダックの麦Aは開花した。

小麦畑 小麦の花 ライ麦畑 ライ麦の花
ラダック麦A ラダックB ラダックC クローバーのなかの二条大麦
a name="20130529">
J2013年5月29日 麦の様子
 地ビールチャレンジの麦の収穫祭2013が6月1日に迫った。そこで気になるのがビーチャレ麦の登熟具合。その撮影日が23日。ついでに直轄農場の麦の様子も撮影した。スピードの時勢なのに、掲載が一週間も遅れた。この期、大麦は急速に成熟する。明日にでも近況を報告しなければなるまい。
 写真上段の左端から霜里農場のビーチャレ麦、2枚目がそのズームアップ。天候次第ではこの数日後が収穫適期になる。3枚目以降は直轄農場の麦類たち。最初がビーチャレ麦と同じ品種の二条大麦。右端が小麦。
 下段左端から開花中のラダックの麦A、収穫間際のラダックの麦B、登熟中のラダックの麦C、右端がこれも登熟中のライ麦。

霜里農場のビーチャレ麦 ズームアップ 二条大麦 小麦
ラダックの麦A ラダックの麦B ラダックの麦C ライムギ

J2013年5月30日 二条大麦と小麦の登熟状況
 昨日に続いて登熟状況の報告になった。写真は最新。
 梅雨入りしたという、雨天の中である。左端から霜里農場のビーチャレ麦。残り二枚は直轄農場。クローバーのなかにばら撒いた二条大麦と小麦。
 ビーチャレ麦は穂が100%湾曲。6月1日の麦の収穫祭2013を待つばかり。収穫適期をとおりこしているので穀粒が痛まないようやさしく脱穀せねばならない。
 直轄農場のこの畑にばら蒔いた二条大麦は少し遅れて登熟中。その西寄りに作付けた小麦の穂を、珍しく野鳥がついばんだ。近ごろ、わずかだが、スズメが戻ってきている。

ビーチャレ二条大麦 直轄農場の二条大麦 小麦

J2013年6月1日 ビーチャレ麦の収穫祭
 ビーチャレ麦の収穫祭を実施した。スタッフを含めて50人余りの陣容。4反の麦畑の半分を鎌で刈取った。脱穀はコンバイン。収穫適期を少しまわっていたので、穀粒に傷がつかないよう、脱穀機の回転を落としていただいた。参加者の収穫作業は午前中に終えて、午後は交流会と麦芽飴づくりをおこなった。
ビーチャレ麦収穫開始

 ついでに直轄農場の二条大麦。青刈りするつもりでばら撒いた麦芽だった。しかし黄金色になるまで放置したので収穫することにした。左端の写真は第三農場・兔平。ここでも手刈りになった。すでに紫芋の苗を畝間に挿した。畑の中央に陣取るのはクヌギの薪。2年後の冬の燃料になる。
 ところで、さっそく知人にいただいたバインダーを活用しようと意気込んだのだが。わが農場のような、疎らにたっている痩せた茎の刈り取りには、そのままではカットできないことが分かった。押し倒すだけ(写真2枚目)。無肥料のうえに麦踏みも省略している。したがって、ほとんどぶんげつしないから、株状に成長せず、ところどころに細い茎がたっている麦畝になる。
 このバインダーには茎株を刃に誘導する強いバネがある(写真3枚目の下部にある黒い湾曲したバネ)。ここの麦茎にはこのバネを押して通過するだけの腰力がない。以前のバインダーはもっとバネが弱かったように思う。ならば、バネの力を調整できるよう改造すればなんとかなるのではないか。得意の我流改造術を試みてみよう。楽しみだ。
 写真右端は刈取ったラダックの麦B。はだか大麦である。

自給農場の二条大麦収穫 バインダーの走行跡 このバネがカットを妨げる ラダック麦B

J2013年6月10日 直轄農場の麦を収穫
 直轄農場の麦の収穫を大方終えた。今日、収穫した麦は小麦とライ麦。それに少量だがラダックの麦C。
 写真先頭はライ麦の刈取りと結束作業。今季、入換えたバインダー。昭和40年代のホンダACT号。エンジンも結束も快調。あやつるは背丈が190センチ近い二代目。ライ麦もバインダーも小さくみえる。手前は収穫を終えた小麦畝。写真2枚目は二代目夫婦の連携プレー、刈取/結束の一方ではライ束を脱穀機のある東屋まで運搬。
 ライ麦の刈取/結束と運搬の最中に、初代は小麦の脱穀作業。写真3枚目が小麦の束。右端が脱穀されて出てきた小麦の穀粒。
 写真下段。左端は脱穀機のゴミ排出口と穀粒出口。脱穀したライ麦はまだ水分を30%余りも含む。台風が近づいて待ちこがれた天水が降りそうなのでガレージの屋根裏でしばらく乾燥させる(写真中)。小麦も水分が20%余りあるので乾燥を要すが、ライ麦が乾燥しきるまで15℃の保冷庫で待機(写真右端)。両者とも乾燥が済んでから風選調製をおこなう。
 今季はともに豊作だった。この地では夏の干ばつが常態化してきてはいるものの、9月以降に繁茂した雑草を還元した成果か。なお、3種のラダックの麦ABC。超早稲種のBは先月の31日に収穫した。Cは今日収穫。これは外見がBに似ている。Aはまだ穂も茎も緑色。

ライ麦の収穫 ライ麦のバインダー作業と束の運搬 小麦の束 小麦脱穀
脱穀機から排出口 ライ麦の天日干し 小麦を保冷

J2013年7月10日 ライ麦と小麦の乾燥と調製
 乾燥は透明波板のガレージ屋根裏に広げての天日乾燥。調整作業は籾ピカを活用して、(1)外れてない籾殻を分離、(2)外した籾殻や混じった茎などのゴミを排出する。
 写真は先頭の2枚がライ麦の調整作業。左端が選別されたライ麦の穀粒。まだモミガラの混入が多いので使用する直前に風選する必要がある。2枚目は排出したゴミ。長い茎や穂の形状をとどめている大きなゴミは手選で排出した。3枚目はガレージ屋根裏に広げた小麦。比較的低水分で脱穀したこともあり、よく穂から外れて、ライ麦に比べるとゴミが少ない。こちらの方は調整作業が楽になる。
 右端はラダックの麦A。じつは撮影日が梅雨入りおよそ10日後の6月23日だった。成熟まえに全体が黒ずんできた。どうしたものか思い悩んでいるうちに、穀粒が一粒もなくなった。すべて野鳥が食べてしまったのだ。そういえば、このところスズメの数が増えてきている。この時期、この周辺には、類似の穀粒がほかに見当たらないので、野鳥たちはここに集中する。今後は少量の作付けの際は収穫期、なんらかの対策が必要になるだろう。

ライ麦の穀粒 ライ麦のゴミ 乾燥棚の小麦 ラダックの麦A

 ついでに収穫期を迎えたトウモロコシ。便宜的に区別する品種は3種類。たねの森で譲っていただいたゴールデンバンタム。自然農法国際研究開発センターで譲っていただいたモチットコーン。野口種苗研究所で譲っていただいた黒餅トウモロコシ。ゴールデンバンタムとモチットコーンは同じ畑で自家採種してきているので純粋の保障はない。黒餅トウモロコシは今年から自家採種する。
 ゴールデンバンタムは甘さ控えめだが生育旺盛。モチットコーンはハニーバンタムにせまる甘さ。黒餅トウモロコシはさわやかなモチモチ感があり、思ったよりも甘い。
 先頭の写真はカラス避けのネット。このように穂の先端に引っ掛けるだけでカラスのいたずらを防げる。2枚目のように、ネットが掛からない穂もあるが、カラスは来ない。とはいっても、ハクビシンやタヌキのようなケモノには通じない。
 最後の写真は茹でたてのトウモロコシ。黄色の2本がモチットコーン。ほかの3本は、ゴールデンバンタム、黒餅トウモロコシ、モチットコーン、これら3種がうまい具合に交雑した。香りよく、プリプリした食感で、とても美味しい。
 トウモロコシは鮮度がいのち。まさに早朝、日の出をみはからって収穫にでかける。ただちに持ち帰ってすぐ茹でる。そして茹でたてを食べる。この季節ならでは、楽しみな朝の主食となる。

カラス対策 黒餅トウモロコシ 交雑したトウモロコシ

J2013年7月21日 小麦を調製
 小麦の調製を終えた。調整といってもゴミを除去するだけの作業。このところ10日余り、日照りぎみの天候でガレージ屋根裏の小麦がよく乾燥した。とくに、ここ数日間は湿度が低下して、高原のような爽やかさが続いている。
 写真は先頭から篩い作業。2枚目が篩った小麦。先頭の写真のように、長い茎が混じるだけかと思ったが、けっこうモミガラも多い。いつものように籾ピカを活用して風選することになった(写真3枚目)。
 ついでにこの季節、目にするセミの抜け殻。ニイニイゼミとアブラゼミ。ニイニイゼミの抜け殻はこんなに小さい。地面から数十センチの主幹で羽化する。土まみれなのは天敵から身を守る技か。それにたいして高所の枝先に登って羽化するアブラゼミはツルツル、ピカピカしておりよく目立つ。
 この地ではセミの声が聞こえ始めるのはGW後のハルゼミに始まって、順にヒグラシ、ニイニイゼミ、今頃のアブラゼミ、・・・である。ところが農場周辺や母屋周辺でハルゼミとヒグラシの抜け殻は目にしたことなく、ニイニイゼミに始まって、アブラゼミ、・・・となる。ハルゼミとヒグラシの生活圏は民家からほんのちょっと距離を置いている。

小麦の篩い作業 篩った後の小麦 籾ピカで選別 ニイニイゼミの抜け殻 アブラゼミの抜け殻

J2013年7月25日 あとがき−自然力の豊作不作−
 直轄農場には今季、ライ麦、小麦、二条大麦、ラダックの麦A、同B、同Cを作付けた。穀類の作付けにおいて、種蒔きから収穫までの活動のなかで得られた生産物として指標化しやすいのが茎莢の量と穀粒の量。そして両者の量を端的に表現する言葉として豊作、不作がある。これを前提にいえば今季はライ麦と小麦が豊作、二条大麦とラダックの麦3種が不作だったといえる。
 ライ麦と小麦は、茎莢も穀粒も、想定以上にたくさん得られた。しかし、その他の麦類は総じて、がっかりするほどのものでしかなかった。二条大麦にあっては、茎莢があまりに貧弱で腰がなく、茎莢がバインダーの寄せバネを通過できず、すべて踏み倒してしまう。それでも、手刈りで収穫して脱穀、穀粒は乾燥調製をひととおり実施して保存した。茎莢はウリ類の敷き草マルチに活用している。
 ラダックの麦3種について。Aは晩生、梅雨期に成熟しつつあったものの、すべて野鳥に食われた。幸い、種を半分残してある。Bが極早稲で穂サイズが大きいのだが、黒穂が数株発生したのですべて処分した。Cは外見がこれまで作付けした六条大麦に似ているのだが生育力が劣る。これは刈取って、そのまま放置してある。
 ライ麦と小麦が想定以上とはいえ、これまでの推移からのそれであって、いわゆる施肥農法との比較ではない。
 そこで以下、不作の要因を確認する。要因はいくつかあろうが、これだろうかと有力に思えるところが二つある。ひとつは雑草との競合。もうひとつが風土に馴染まない種、あるいは原種に近い種なのかである。なお、過去に現れたことにない黒穂は子実内で生存して種子伝染するという。そこでこの黒穂にかんする問題は、外から持込んだ種に起因するものなので、除外する。
 前者の雑草との競合については、明らかに不作の麦畝で、雑草が繁茂ないし旺盛な作物が覆っていた。二条大麦にあっては作条を掻かず雑草を放任したまま種をふったのがきっかけ。ラダックの麦Aは先に繁ったカキナが麦畝を覆った。BとCは雑草と赤クローバーを放任した畝に隣接して作付けた。4月8日、二条大麦と小麦を除くすべての畝間の雑草類刈払いを一回実施したものの、すでに雑草類の勢いが勝っていたのだった。作物はともかく、麦類周辺の雑草は麦類の背丈を越えないよう管理するのが肝要だろう。
 後者の種の問題はラダックの麦2種があてはまる。去年までカシミール地方のラダックで育った種である。めったに降雨のない高山地帯に対して湿潤な温帯。びっくりするほど風土が異なる。原種に近い種であったら生育力が弱いのはいたしかたない。どちらにせよこの地の風土に慣れるまで少なくとも数年、交雑しないよう注意しつつ栽培を試行するのがよいと思う。



 麦雑穀工房マイクロブルワリー